
近年では歯科医院の需要は高まっており、開業を検討する歯科医師は増えています。しかし、開業には経営に関する知識が必要です。中でも、事業計画書作成は必須となるので、ポイントをしっかり抑えましょう。ここでは、事業計画書の書き方を解説します。独立を目指す歯科医師は必見です。
事業計画書に記載する項目
事業計画書作成の目的は、金融機関から融資を受けることです。審査の可否や、適切な金額を決める資料となります。希望を通すためにも、入念な事業計画を立てましょう。また、経営指針を決めることも目的です。計画通りに進まない時の修正案や、トラブル対処まで考えましょう。ここでは、記載すべき項目について解説しています。
開業動機
開業にあたり、想いや目的をアピールする項目です。具体的な経験を踏まえ、熱意を伝えましょう。また、提供できるスキルや、同業他社にない魅力は説得力があります。患者のメリットを具体化し、自身が開業する意義をアピールしましょう。将来のビジョンや目的には、相応の理由が必要です。経営者の経歴
経歴は融資可否で重要な項目です。出身大学・勤務医院歴・マネジメント歴・役職・保有資格などを具体的に記載しましょう。経験豊富なほど、金融機関には好印象です。コンセプト
軸となる方針をアピールする項目です。ターゲットとする患者のイメージ、保険診療・自由診療の割合、力を入れる治療・サービスについてまとめます。将来のビジョン
起動に乗った後、どの様に事業展開するかを表す項目です。売上・利益の目標数値や、戦略を具体的に記載しましょう。ある程度地域で認知された場合、患者のリピート化や診療単価向上が重要です。プラスの技術・サービス、アピール方法を考えましょう。また、経費削減をしながら、業務効率アップも必要です。人件費は2つに大きく関わるので、採用活動・定員・給与の将来設計を立てましょう。
資金計画書
開業に必要な費用を記載する項目です。医療機器・内装工事・備品・広告・求人など、概算を出しましょう。また、月々の売上・経費の目標も記載します。そして、自己資金や家族の支援などがある場合、予定額の記載が必要です。資金計画書を作成するうえでのポイント
資金計画書は、融資を受けるために具体性が必須です。説得力のある内容で提出しましょう。ここでは、審査を通すために重要なポイントをまとめています。売上の想定
まず、年間の売上目標を立てます。売上の出し方は、診療単価×患者数×診療日数です。診療単価とは1回の平均診療価格であり、治療内容で大きく変動します。保険診療メインであれば、診療単価は低くなるでしょう。一方、自由診療の割合を上げることで、診療単価は高くなります。コンセプトに合わせて、最適な診療単価を決めましょう。そして、患者数の想定は、診療圏調査を元にすると具体的です。また、診療日数は年間スケジュールで先に決めておきましょう。計算することで、根拠のある数値を想定できます。
初期費用の予算
初期費用について細かく記載しましょう。まず、物件を借りる場合、不動産手数料・礼金・保証金が必要です。また、医療機器は、ユニットやレントゲンが欠かせません。コンセプトに合わせて、必要な台数を想定しましょう。そして、イメージを良くするために、内装工事も重要です。上手く業者を選ぶことで、費用は大きく抑えられます。さらに、宣伝費用は効率的な方法にお金をかけましょう。新規開業時の集患は、とても重要なポイントです。
また、求人費用も欠かせません。多くの応募を得るために、求人媒体に依頼しましょう。初期費用の投資は、売上を得るためのきっかけづくりです。優先順位をつけ、現実的な数値で考えましょう。
月々の経費を想定
経費には、大きく分けて固定費と変動費の2つがあります。固定費を抑えることで利益を得やすくなるので、慎重に想定しましょう。固定費は家賃・人件費・機器のリース代・開業ローン返済・光熱費・広告費などがあります。コンセプトに応じて、重きを置くポイントを絞りましょう。とくに、家賃は駅前と住宅街で大きく異なります。利益追求の大きな軸となるので、物件選びは重要です。さらに、最適な人員を揃えることで、人件費コントロールができます。
目標の診療単価・患者数を叶える、最低限の採用を行いましょう。そして、変動費には材料・薬品代、歯科技工所利用代などがあります。患者の要望や症状により、月々大きく異なるでしょう。そのため、余分に想定しておくと安心です。
キャッシュフロー表を作成
事業計画は、3〜5年後を見越すことが重要です。そこで、将来の計画を立て、ローン返済予定を現実的な範囲で記載します。審査を通すためにも、金額と期間に余裕を持たせることが必須です。信頼を得られる計画を立てましょう。事業計画書の作成における注意点
融資を受けるためのポイントを抑えながら、NG行為を避けることも重要です。ここでは注意点を解説しているので、きちんと理解しておきましょう。収支が非現実的
根拠のない事業計画は、金融機関から懸念されます。売上・利益の目標は、現実的な数値を設定しましょう。患者数に関しては、診療圏調査を使うことで説得力のある計画が立てられます。また、経費に関しては、業者見積もりを細かく出すと具体的です。そして、トラブル発生を見越した経費も考えましょう。例えば、患者数が取れない場合は認知強化が必要です。
広告費を最初から高く見積もることで、臨機応変に宣伝できるでしょう。経費のバランスも、現実的な売上を作るために重要です。理想を追求するだけではなく、目標達成できるかを考えましょう。