
歯科医院の開業の際には、事前に資金を用意しなければなりません。どれくらいの資金が必要なのか、どのように資金を調達すれば良いのか知っておく必要があります。開業資金の調達を含め、しっかりと計画を立てておくことは開業の成功を左右する大切なポイントです。この記事では、歯科開業資金の調達方法や準備のポイントを徹底解説します。
歯科医院の開業資金の目安
歯科医院の開業に必要な資金は、立地や医院の規模によっても変動しますが、およそ5,000万円程度必要な場合がほとんどです。土地から建物を新築するケースや好立地に開業する場合は、さらに資金が必要になることがあります。とくに都市部など人が集まりやすい地域は賃料が高くなりやすい傾向にあり、賃貸契約においては敷金や礼金、保証金、前払い賃料、仲介手数料などさまざまな費用がかかります。立地選びや賃貸契約にかかる費用が、開業資金として必要な額を大きく左右するといっても過言ではありません。
内装工事を行う場合には、だいたい30坪程度で1,000万円から2,000万円程度が目安といわれています。業者選びや設備によっても費用が変わってくるため、綿密な打ち合わせで予算超過を防ぎましょう。歯科医院を開業するうえで必ず必要となる医療機関は、診察台を1台設置するのに250〜500万円、レントゲンやCTスキャンには500万円から2,000万円と、医療機器の種類や数を充実させればさせるほど費用は高額になります。
また、開業後すぐに収益を得られるとは限らないため、開業資金にはあらかじめ運転資金も含めて考えておくと安心です。運転資金は、一般的にスタッフの給与や光熱費、その他雑費などにかかる資金として1,000万円程度を用意しておくと良いとされています。
開業資金の調達方法
歯科医院を開業する際に必要な資金を調達する方法は、ひとつではありません。以下では、医院開業の際のおもな調達方法について解説します。自己資金
一般的には、開業にかかる資金の2割程度を準備しておくべきであるといわれています。目安としては、1,000万円から2,000万円ほど自己資金があると安心です。金融機関からの融資を希望する際は、自己資金の金額が多ければ多いほど融資が受けやすくなるといわれています。勤務医として働きながら1,000万円から2,000万円の資金を貯めるのは大変なことですが、生活に無理のない範囲でコツコツ貯めていくことが大切です。
金融機関からの融資
歯科医院をはじめとする開業資金において、最も一般的に利用されているのが金融機関からの融資です。こちらは、比較的低金利で長期返済ができるのが特徴です。日本政策金融公庫において活用できる新創業融資制度では、無担保かつ無保証でも3,000万円ほどの融資を受けられるケースもあります。自己資金が少なくても融資が受けやすい傾向にありますが、融資を受ける際は必ず事業計画書や資金計画書などを提出する必要があります。融資先として、銀行をイメージする人が多いかもしれません。しかし、歯科医院の場合は日本政策金融公庫で融資を受けることが多く、銀行よりも融資を受けやすいのが特徴です。
開業資金調達で失敗しない方法
しっかりと開業前のプランを立てていたとしても、開業後はすべてが事業計画どおりにいくとは限りません。そのため、資金をできる限り多く確保しておくことが大切です。予想外の出費に悩まされたり、思ったよりも収益が得られずに資金繰りが苦しくなってしまうリスクが予想されます。そのため、金融機関からの融資はできる限り多めに借りておくことをおすすめします。医院の新規開業では医療機器などを用意しなければならないため、一般業種よりも開業資金がかさむことがほとんどです。
銀行からの融資を受けられることになった場合でも、資金が足りなければ追加の融資の申請を行い、再審査を受ける必要があります。追加の融資の再審査は簡単に通るとは限らないため、多めに借りて少しでも手元にお金を残しておくことが得策です。
もっとも間違いがなく失敗しない方法は、自己資金を多めに用意しておくことです。自己資金が十分に用意できていれば、金融機関からの融資に手間取ってしまったり、思っていたより少ない金額しか借りることができなかった場合でも心配ありません。
そして、何にどれくらいの費用がかかるのかを把握したうえで、物件費や内装費など「妥協しても構わない」と思える点に関しては節約することも大切です。。